パワハラ | 奈労連・一般労組支援 上田公一

書評 :『パワハラにあったときどうすればいいかわかる本』〜あなたのためのお助け本

書評 :『パワハラにあったとき


どうすればいいかわかる本』


〜あなたのためのお助け本

レイバーネット日本より引用掲載


                            北 健一(ジャーナリスト)
「公務員を叩く人が首長になると、モンスターペアレントが増えるんですよ」、こんな話を大阪の教員から聞いた。客室乗務員(CA)、看護師、介護士はじめ対人サービス業は、自分の感情を抑え、いつも笑顔で穏やかな対応が求められるので感情労働とも呼ばれるが、顧客からのパワハラの矢面に立ち、心身を壊すケースが少なくない。そんな問題も視野に入れているのが、いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター(千葉茂代表)と精神科医・磯村大さんの共著『パワハラにあったときどうすればいいかわかる本』(合同出版)である。

 日本でパワハラを議論する場合、しばしば参照されるのが、厚生労働省の円卓会議が出した「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」である。この提言は「働く人の尊厳や人格が大切にされる社会を創っていくための第一歩」だと自らを位置づけているが、それを「答え」として固定化して捉える向きも少なくない。 本書も「提言」、とくにパワハラの定義や6類型(パターン)を参照するが、「この6つのパターンにあてはまるものだけがパワハラではない」と言う。この視点が、前述した「顧客からのパワハラ」の理解に活きている。

 パワハラは何であり、なぜ起き、働き手の心身に何をもたらし、どう対応すべきか。パワハラを防ぐには。具体的な40の場面ごとにQ&A形式で問題を整理し、たかおかおりさんのマンガ(実にいい味!)が理解を助けてくれ、著者らの豊富な相談、診療経験は、記述のわかりやすさと温かさに結実している。

 私も出版労連で労働相談に携わっているが、相談経験からも腑に落ちる点が多く、メンタルヘルスの理解、対応では受診の勧め方、睡眠の質、温かな無関心など多くを教えられた。

 本書を貫くのが「人間関係がいちばんの労働条件」であり、それをみんなの力で育んでいく志向である。そこから、「労使関係、“人間関係”の問題としてどう解決できるかを探っているとき、法律によって相手を屈服させることは、真の解決の妨げになることもあります」と裁判のデメリットにもふれるが、重要な指摘だ。

 パワハラの実態はひどく、被害者の傷は深い。加害者やそれを放置する会社への憤りは当然だし、事案によっては謝罪や償い、人事処分も必要になる場合もあるのだが、おそらくそこはゴールではない。厚労省・提言が「第一歩」だとすれば、本書は働く場で一人ひとりが大切にされる明日に向かって、気づきや相互理解を重ねながら「二歩目から」を歩いていくための道しるべである。

*1500円+税 注文は→合同出版HP 


<パワハラ>19歳自殺 会社と上司に7260万円賠償命令

<パワハラ>19歳自殺


 会社と上司に7260万円賠償命令


毎日新聞 11月28日(金)20時28分配信


 ◇福井地裁が父親の主張を大筋で認め、上司は1人に

 福井市の消防設備会社に勤務していた男性(当時19歳)が自殺したのは上司による暴言などパワーハラスメントが原因だとして、男性の父親が会社や当時の上司2人に約1億1000万円の賠償を求めた訴訟の判決が28日、福井地裁であった。樋口英明裁判官は、父親の主張を大筋で認め、会社と上司1人に計約7260万円の支払いを命じた。原告側の弁護士によると、未成年者へのパワハラと自殺との因果関係を認めた判決は全国初という。

 判決によると、男性は高校卒業後の2010年4月、消防設備会社に入社した。直属の上司だった男性社員(31)から「辞めればいい」「死んでしまえばいい」などと繰り返し言われ、うつ病を発症。12月6日朝に自宅で首をつって自殺した。

 男性は上司に指示され、「まずは直してみれば?その腐った考え方を」などの上司の発言をノートや手帳に記録していた。樋口裁判官はこのうち23の発言について「男性の人格を否定し、威迫するもの。典型的なパワハラといわざるを得ない」と指摘。会社に対しては使用者責任を負うとした。

 男性の父親は「判決は息子の名誉に関わる当然の結果。人殺しされたに等しい」とのコメントを発表した。

 会社側の弁護士は「上司が仕事の失敗などで叱っていたのは事実だが、パワハラには該当しない」と話し、控訴する意向を示した。【竹内望】
 


たかの友梨氏がパワハラ?「あなた会社つぶすの」 録音データ公開

たかの友梨氏がパワハラ?「あなた会社つぶすの」


 録音データ公開

with newsより引用掲載



「たかのビューティークリニック」の不当労働行為などを説明する北村理美弁護士

「たかのビューティークリニック」の不当労働行為などを説明する北村理美弁護士

出典: 朝日新聞



「録音データ」を公開

 エステサロン大手「たかの友梨ビューティクリニック」を経営する「不二ビューティ」(本社・東京都)の女性従業員が加入するブラック企業対策ユニオンは28日、同社の高野友梨社長(66)から、組合活動をしていることを理由にパワーハラスメントを受けたとして、宮城県労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。記者会見も開き、「パワハラ時の録音」とされる音声記録を公開した。

「たかのビューティクリニック」の運営会社の社長を務める高野友梨氏

「たかのビューティクリニック」の運営会社の社長を務める高野友梨氏

出典:不二ビューティ(たかの友梨ビューティクリニック)のHP

 同ユニオンや弁護士によると、ユニオン側は今月22日、仙台労働基準監督署が 「たかの友梨ビューティクリニック」の仙台店での残業代の減額などに是正勧告を出したことについて記者会見する予定だった。そのことを知った高野社長は、前日の21日に急きょ仙台市を訪れ、仙台店の従業員15人や店長らを飲食店に集めたうえ、この女性従業員に対して2時間半にわたり話し続けたという。

「つぶれるよ、うち。それで困らない?」




女性従業員を支援するエステ・ユニオンと弁護団が公開した「高野友梨氏の録音データ」(抜粋)

出典:エステ・ユニオンと弁護団提供

 高野氏は、録音された会話の中で、この女性従業員に対し持論を展開した。

 未払いが問題になった残業代については「残業代といって改めて払わないけれども、頑張れば頑張った分というのがあるじゃん。そうやって払っている」と、支払いが適正ではない可能性を認めた。弁護団によると、月間77時間の残業に対して12万円が支払われるべきところ、3万5千円ほどしか支払われないケースがあり、こうした事例が横行している可能性があるという。

 また、女性従業員が労働環境の改善を訴えてることについては「つぶれるよ、うち。それで困らない?この状況でこんだけ働けているのに、そういうふうにみんなに暴き出したりなんかして、あなた会社潰してもいいの」と迫った。

 さらに、残業や休日労働をさせる場合には、労使で書面による協定を事前に結ぶ必要があると定めた36協定(労働基準法第36条)については「みんな各店うやむや」「うかつだった。知らないもん」などと述べた。「法律どおりにやったらサービス業は上昇しない」とも話した。

 録音されたのは仙台市内の飲食店の個室。この女性従業員が働く店舗の管理職やほかの従業員ら計18人が同席したという。高野氏はこの女性従業員の正面に座り、周囲の他の従業員が労組に入ったかどうかを確かめる場面もあった。
 
 女性従業員は記者会見で「(周囲の)全員があたしと院長を見ている中で2時間半、至近距離で名指しされて。恐怖でした」と話した。この従業員は精神的ショックを受け、出社できない状況が続いているという。

 会見に同席したエステ・ユニオン(ブラック企業対策ユニオン エステ支部)の執行委員、青木耕太郎氏は「逃げ出すこともできない場面で、社長が一従業員にパワハラをしている。一従業員に『会社をつぶすのか』というのはあまりにも一方的なやり方だ」と批判した。

女性従業員を支援し、記者会見に同席した弁護団ら。(左から)三浦かおりエステ・ユニオン共同代表、青木耕太郎執行委員、小野山静弁護士、北村理美弁護士、新里宏二弁護士=福山崇撮影

女性従業員を支援し、記者会見に同席した弁護団ら。(左から)三浦かおりエステ・ユニオン共同代表、青木耕太郎執行委員、小野山静弁護士、北村理美弁護士、新里宏二弁護士=福山崇撮影

出典: 朝日新聞

「会社への誹謗は、自分の頑張ってきた道を汚す」

 このほか、録音の後半では、高野氏が作成したという文書を管理職が代読し、この店舗の従業員らに聞かせる場面もあった。内容は以下の通り。




女性従業員を支援するエステ・ユニオンと弁護団が公開した「高野友梨氏の録音データ」(抜粋)

出典:エステ・ユニオンと弁護団提供

高野友梨氏:
 それで、あと全店FAXしたのを。特に、みんなすごく不安に打ち震えてるじゃない。各店員が、なんか高野がおかしいことやってるんじゃないかと。思うので、ちゃんと私は私で、反論を出す、反論というかね、事情説明をしましたんで。それを(※管理職)読める?(管理職)も今初めて読むけど、これは私が書いてきて全店にFAXしました。はい。読める?(略)


管理職による代読:
 たかのファミリーへ。
 最近、サロンに、ユニオンという所からはがきが届いているところがあるかと思います。そのことに対して、経過説明をします。仙台店の社員数名が、「ユニオン」という団体に加入し、「正義」という名を借りて、会社に待遇改善の団交を要求、また、労基署にも訴えたり、マスコミにも過激な文章を流したり、各サロンにも2回も団体への入会勧誘のはがきを出したりしています。
 ユニオンはともかく、働きやすい会社を作りましょうと、正義という名を借りて、自分の要求をしてきます。また、長年勤務してくれていたベテランセラピストが、職場にいながら、会社に矢を向けています。勤勉で、心あると思っていた社員が、いきなり、会社誹謗の反旗を掲げる。創業36年、初めてのことです。(略)

何もできなかったみんなは、給与を得ながら、アカデミーに、エステの基礎を学び、一年間は大切なお客様に、拙い技術で迷惑をかけながら、一歩一歩腕を上げていけた。お客様のクレームや危害は、すべて会社が解決していった。先輩はみんなのために、残って教えてくれた。店長は自腹でごはんをご馳走してくれた。悩んでる時は一緒に泣いてくれた。

 やめた仲間も多々いる中で、頑張ってきたあなたは、ある日お客様のありがとうの言葉でじーんとして、この仕事で頑張ろうと覚悟を決めた。もっと違う仕事もあるし、楽な仕事もあります。でも、エステをやるなら、たかのでやると心に決めたあの日がある。(略)

 新年会や運動会で仲間と盛り上がった。いろんな青春の思い出を泣いたり笑ったりして、大切な仲間がいるから、そして会社は人として女性として、技術はもとより、成長できる自分磨きの場所だった。上質なお客様、すてきなインテリア、最先端の商材、魅力的な先輩。たかの友梨ビューティクリニックは60歳を超えても働けます。いま現在、働いてる方もいます。独立して成功してる先輩もたくさんいます。高野には新しい出会いと夢があります。皆さんにいまの職場があるのは、先輩たちは汗と涙で頑張ってくれたから。感謝感謝ですね。

 昨年度よりさらに働きやすい職場にするために、昇級もし、休みが取りやすいように一部サロンでは連休やお盆休みを作ったり、フレックスをとるよう本部で指導したりしていましたが、なかなか中堅社員の皆さんへの負担がかかっている状況は否めません。いままで頑張った人には、報償や賞与で評価してきましたが、今後はより皆さんの働きやすい環境となるよう変えていきます。働きたい人には違う働き方を考えていきます。

 会社を誹謗することは、自分のこれまで頑張ってきた道を汚すことだと私は思います。
 
 昨今、エステ業界は悲惨な状況で閉店を余儀なくされています。原因はお客様の高齢化と少子化による人口減少と消費税の増税等です。当社も例外ではありません。お客様は毎年4万人も減少し、このたびやむなく10店舗がクローズの候補になっています。
 私たちの職場は客商売であるため、暇な時間もあり、工場や公務員のようにいかないことはご存じのことと思います。エステティシャンは手に職をもった職人です。職人が育つためには勉強と訓練の時間も必要です。思い出してください。あの日、人を癒やしたい、人をきれいにしたいと心に決めた自分の決断を。

 とはいえ、会社は古い体質から生まれ変わろうとしています。会社の、そして自分の歴史を汚さないでください。私を好いて、私を信じて、ついてきてください。

 高野友梨


エステ・ユニオンが主張する「たかの友梨ビューティクリニック」の問題点

女性従業員に付き添い、記者会見するエステ・ユニオン執行委員、青木耕太郎氏

女性従業員に付き添い、記者会見するエステ・ユニオン執行委員、青木耕太郎氏

出典: 朝日新聞

。吋月あたり平均80時間に及ぶ残業

休憩が取れず、昼食やトイレにも行けないことも

D蟲抛どおりに休めず、休日出勤への手当もない

ぁ崔も取っていない」などと説明され、有給休暇を取得できない

セ超搬紊量なГ

産休取得の妨害

Ьι覆売り上げ目標に届かないと、カードローンなどで自腹購入させられる

┯修費など会社が負担すべき経費が、給与から天引きされる

配置転換をしない約束を無視するなどの不当な異動命令

労使協定書の従業員側の署名・押印を、従業員本人に無断で作成

不二ビューティの担当者は「申し立ては把握していない。不当労働行為とされるような行為はしていないと認識している」と話す。

出典:朝日新聞デジタル

 エステ・ユニオンや支援弁護団は、「悪質な労働環境はエステ業界全体にある」として、相談窓口「エステ労働相談ホットライン」(0120−987−215)を開設する。
8月29日と9月1日の20:00〜24:00
。 


たかの友梨氏がパワハラ?「あなた会社つぶすの」 録音データ公開

 

たかの友梨氏がパワハラ?


「あなた会社つぶすの」 録音データ公開


withnews 8月28日(木)22時7分配信 より引用掲載

「録音データ」を公開

 「たかの友梨ビューティクリニック」を経営する「不二ビューティ」(本社・東京都)の女性従業員が加入するブラック企業対策ユニオンは28日、同社の高野友梨社長(66)から、組合活動をしていることを理由にパワーハラスメントを受けたとして、宮城県労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。記者会見も開き、「パワハラ時の録音」とされる音声記録を公開した。

【録音データ】弁護団が公開した「高野友梨氏の会話」

  同ユニオンや弁護士によると、ユニオン側は今月22日、仙台労働基準監督署が 「たかの友梨ビューティクリニック」の仙台店での残業代の減額などに是正勧告を出したことについて記者会見する予定だった。そのことを知った高野社長は、前日の21日に急きょ仙台市を訪れ、仙台店の従業員15人や店長らを飲食店に集めたうえ、この女性従業員に対して2時間半にわたり話し続けたという。

「つぶれるよ、うち。それで困らない?」

高野氏は、録音された会話の中で、この女性従業員に対し持論を展開した。

 未払いが問題になった残業代については「残業代といって改めて払わないけれども、頑張れば頑張った分というのがあるじゃん。そうやって払っている」と、支払いが適正ではない可能性を認めた。弁護団によると、月間77時間の残業に対して12万円が支払われるべきところ、3万5千円ほどしか支払われないケースがあり、こうした事例が横行している可能性があるという。

 また、女性従業員が労働環境の改善を訴えてることについては「つぶれるよ、うち。それで困らない?この状況でこんだけ働けているのに、そういうふうにみんなに暴き出したりなんかして、あなた会社潰してもいいの」と迫った。

 さらに、残業や休日労働をさせる場合には、労使で書面による協定を事前に結ぶ必要があると定めた36協定(労働基準法第36条)については「みんな各店うやむや」「うかつだった。知らないもん」などと述べた。「法律どおりにやったらサービス業は上昇しない」とも話した。

 録音されたのは仙台市内の飲食店の個室。この女性従業員が働く店舗の管理職やほかの従業員ら計18人が同席したという。高野氏はこの女性従業員の正面に座り、周囲の他の従業員が労組に入ったかどうかを確かめる場面もあった。
 
 女性従業員は記者会見で「(周囲の)全員があたしと院長を見ている中で2時間半、至近距離で名指しされて。恐怖でした」と話した。この従業員は精神的ショックを受け、出社できない状況が続いているという。

 会見に同席したエステ・ユニオン(ブラック企業対策ユニオン エステ支部)の執行委員、青木耕太郎氏は「逃げ出すこともできない場面で、社長が一従業員にパワハラをしている。一従業員に『会社をつぶすのか』というのはあまりにも一方的なやり方だ」と批判した。


日常的に繰り返される暴言・暴行――上司の「パワハラ」を目撃したらどう対応すべき?

日常的に繰り返される暴言・暴行――


上司の「パワハラ」を目撃したらどう


対応すべき?

弁護士ドットコム 8月16日(土)12時55分配信 より引用掲載

   

「お前の顔見てると吐きそう」「死んだほうがいい」。そんな人格を否定するような暴言を浴びせかけ、「契約100件取るまで帰って来るな!」と、理不尽な命令を飛ばす。ときには、ゴルフクラブで背中を殴打するといった暴力に至ることもある・・・。

不動産関係の会社で営業を担当していたAさんの職場では、こうしたパワー・ハラスメント(パワハラ)が、ある上司によって日常的に行われていた。同僚への激しいパワハラをなんとか止めることができないか。Aさんはそう考えていた。

しかし、「注意したら自分にも被害が及ぶかもしれない」と恐れ、見て見ぬふりをするしかなかったという。別の仕事に転職した今でも、当時のことを思うと暗い気持ちになる。「自分に何かできたのではないか」と自問することもあるそうだ。

職場でパワハラを見かけても、上司に対して、毅然と注意することはなかなか難しい。いったい、どのように対応すればよいのだろうか。労働問題にくわしい古川拓弁護士に聞いた。

●精神的に支えてあげることが出発点

「職場でのパワハラは、主に上司としての地位を利用したいじめ・嫌がらせのケースが多いですが、最近では同僚・部下間でのケースも増えています。仕事への意欲や自信を喪失させるだけでなく、うつ病や適応障害などといった精神障害を引き起こし、ひどい場合は、自殺に至る原因ともなります。

今回のケースですと、『死んだほうがいい』などという人格否定のひどい言動や、ゴルフクラブで背中を殴打するなどといった身体に対する暴力があるということですので、同僚に強い心理的負荷がかかる、ひどいパワハラ行為だと認められる可能性が高いと言えるでしょう」

Aさんのように、職場でひどいパワハラ行為を見た場合は、どう対応すればよいだろうか。

「まず、被害者の方を心理的に支えてあげることが大事でしょう。共感・同情していることを伝えて、相談にのることがスタートではないかと思います。被害者は追い詰められたり孤独になっていることが多いため、『職場に味方がいる』という事実そのものが、大きな支えになるでしょう」

相談に乗るといっても、いったいどんな風に接すればいいのか?

「体調などを気遣ってあげて、『夜眠れない』『食欲がない』『どんよりした気持ちになる』などといった体調の変化があるのであれば、やんわりと精神科や心療内科への受診を勧めるのも一つかと思います。精神障害を発症している場合、対策を講じないでいると、ひどい場合は自殺に至るなど『最悪の事態』の危険もありますから」

●パワハラ行為の記録も重要なサポートになる

精神的な支え以外で、できることはないだろうか。

「たとえばパワハラ行為について、メモやレコーダーなどに記録しておくことが考えられます。パワハラ行為の内容について、後日問題になった場合に証拠となります」

記録をとるだけなら、すぐにでもできそうだ。その記録をどうすればいいのだろうか。

「どこかに相談することが考えられますが、どこに、どんな話をするかが重要となってきます。会社内の人事部やコンプライアンス委員会などの窓口、そして、労働組合や労基署などが考えられますが、一般的に、会社内に設けられた窓口は、会社の不利益を回避するように行動することが予想されます。

また、職場内の労働組合も、労使協調を重視するあまり、こういった個々の労働者の悩みを正面からとりあげてくれない場合が見受けられます。

労基署にパワハラの証拠をそろえて持っていけば、職場視察などをしてもらえる可能性はあると思います。しかし実効性に乏しいだけでなく、会社側が、労基署に申告した人を推定して報復してくる可能性もありますので、必ずしも一般的にお勧めできるわけではありません」

いちばん現実的なのは、どんな方法なのか?

「一番現実的なのは、パワハラの被害を受けた本人が、パワハラ問題にくわしい弁護士に相談し、弁護士と一緒に解決に乗り出すことです。

もし、被害者がパワハラを受け、精神的なショックから通院されているような場合は、精神障害による労災問題について、十分な知識を持った弁護士にご相談するのがよいでしょう。証拠をそろえる方法なども含め、具体的な進め方についてのアドバイスを受けることが可能です」

職場のパワハラに対して、同僚としてできることは限られているかもしれない。それでも、パワハラ行為を記録したり、弁護士に相談するようアドバイスすることならば、可能かもしれない。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
古川 拓(ふるかわ・たく)弁護士
弁護士法人古川・片田総合法律事務所 代表。2004年弁護士登録。京都弁護士会・過労死弁護団・ブラック企業被害対策弁護団所属。特に過労死・過労自殺・労災事故などの労災・民事賠償事件に力を入れ、全国からの相談に応じている。著書に「働く人のためのブラック企業被害対策Q&A : 知っておきたい66の法律知識」(共著)など。
事務所名:弁護士法人 古川・片田総合法律事務所
事務所URL:http://fk-lpc.com/
 


労働者の心身をむしばむパワハラ ── 件数も割合も年々増加

 

労働者の心身をむしばむパワハラ ──


件数も割合も年々増加


THE PAGE 7月30日(水)12時0分配信 より引用 掲載

 職場でのパワーハラスメントがあとを絶たない。全国の警察では、パワハラが理由で今年1月から6月の間に昨年より多い11人が処分されたと発表されたばかり。今年6月には、秋田県横手市職員の男性(46)が上司のパワハラに追い詰められたとの遺書を残し、自殺した。パワハラはなぜ起こるのか?

 都道府県労働局などへのパワハラに関する相談件数は年々増加している。2002年度には6,627件だったものが、2012年度には51,670件に増加。労働相談全体に対する割合では、6.4%から20.3%へと、実に相談件数の5分の1にまでなるほど増加している。その中で精神疾患を発症し、労災補償を受ける人も増えている。労働者の25.3%がパワハラをされたと感じている。

 厚生労働省は、パワハラを(1)精神的な攻撃(2)過大な要求(3)人間関係からの切り離し(4)個の侵害(5)過小な要求(6)身体的な攻撃の6つに分類している。企業の側もパワハラの存在を認識し、職場の雰囲気が悪くなり、社員にメンタル面の問題が生じ、退職する人がいることもある程度は理解している。

 筆者は、これまで勤務した3社のうち、すべてでパワハラを受けたことがある。なぜ、「精神的な攻撃」「過大な要求」などを受けるのか? なぜ上司や先輩社員はパワハラをするのか? ということを疑問に思ってきた。

 実際に仕事ができないことを理由にしたパワハラが存在する。たとえば新入社員の場合、一般にすぐに仕事ができる、というわけではない。それゆえ、ターゲットとなる。新入社員は、仕事に慣れ職場になじんでいる社員に比べ、生産性が低い。

 ただ、それならまだ仕事で成果を見せられるようになれば解決できる(実際にはそのパワハラのため、仕事上のパフォーマンスを発揮することは困難だ)が、その中で「精神的な攻撃」や「過大な要求」などが起こりやすい。男性社員に童貞であるかどうかなどということを聞くような「個の侵害」も起こる。実際に私自身は、「童貞はダメだ。稼いだ金でソープに行け」などと言われたこともある。

 会社内にも競争があり、優位であることを社内で誇示して上司の歓心を得る人もいる。その中で、特定の人を無能でありダメだと烙印を押すために行われるパワハラもある。自分がいかに優れているかを示すため、ほかの社員をおとしめる。この場合には、「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過小な要求」が起こりやすい。

 そしてさらに、会社内でのコミュニケーションのためにパワハラが行われることさえある。社内の人間関係を深め、団結を強くするために、特定の人をよってたかってパワハラする。学校のいじめと同じだ。この場合は「精神的な攻撃」「過小な要求」が多い。

 現在のパワハラは、特に「精神的な攻撃」の要素が強い。社内で大声で罵倒したり、無視したりということは私もさんざんやられてきた。こういったパワハラは、多くの働く人を傷つけるだけではなく、組織全体のパフォーマンスをも低下させる。のみならず精神疾患の患者を増加させる原因にさえなっている。

 パワハラを受けた被害者はどう傷ついたのか? 次回は、実際に被害者あった人たちの声を拾う。

(ライター・小林拓矢)


八戸警察署員が自殺か、パワハラ含め調査

 八戸警察署員が自殺か、パワハラ含め調査


日本テレビ系(NNN) 7月31日(木)16時14分配信より引用掲載


 青森県八戸警察署の署員が警察官舎で死亡していたことが分かり、県警察本部は自殺の可能性が高いとみてパワーハラスメントを受けていたかどうかを含め、慎重に調べている。

 県警察本部監察課などによると、今月下旬、八戸警察署の署員が警察官舎の自分の部屋で死亡しているのが見つかった。現場の状況などから、事件性はなく自殺の可能性が高いとみられている。

 県警察本部は、署員がパワーハラスメントを受けていたかどうかを含め、ほかの署員から事情を聞くなど死亡した経緯を慎重に調べている。

サントリーに賠償命令=パワハラで休職―東京地裁

 

サントリーに賠償命令=パワハラで休職―


東京地裁


時事通信 7月31日(木)21時37分配信 より引用掲載 

  

 サントリーホールディングスの男性社員が、上司からパワハラを受けて休職を余儀なくされたとして、同社と上司らに約2400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、東京地裁であった。本多知成裁判長はパワハラを認め、同社と上司に297万円の支払いを命じた。
 本多裁判長は、中堅社員だった男性に上司が「新入社員以下だ」などと発言したことについて、「注意や指導としての許容限度を超える」と判断した。
 判決によると、男性は2006年4月から上司と同じ部署に所属。開発を担当していたシステムの稼働開始を前に上司からの指導回数が増えて精神的に追い詰められ、07年4月にうつ病と診断された。別の部署に配置換えとなった後、一時休職した。
 サントリーホールディングス広報部の話 主張が認められず残念。控訴も検討する。


26歳青年「上司に殴られあごに穴あき栄養ドリンク漏れた」 - パワハラ蔓延し人が壊れてゆく職場

 

26歳青年「上司に殴られあごに穴あき


栄養ドリンク漏れた」 -


パワハラ蔓延し人が壊れてゆく職場


井上伸 | 国家公務員一般労働組合執行委員、国公労連書記、

雑誌編集者より引用掲載

増加するパワハラ[人事院「平成24年度における国家公務員の苦情相談の概要」より]

最近、パワハラ問題についてのマスコミ報道が多くなっています。直近では警察官のパワハラ自殺が相次いでいることが報道されています。

厚生労働省が6月27日に公表した2013年度の「脳・心臓疾患と精神疾患の労災補償状況」においても、精神疾患の労災認定のうちパワハラは55件にのぼり2年連続で過去最多を更新しています。

また、人事院の「平成24年度における国家公務員の苦情相談の概要」においても下のグラフにあるように、パワハラ相談が年々増え続けていて、直近の平成24年度ではパワハラが一番多くなっています。

人事院の「平成24年度における国家公務員の苦情相談の概要」より
人事院の「平成24年度における国家公務員の苦情相談の概要」より

私たち国公一般に寄せられる労働相談も半数近くがパワハラ問題になっています。いま職場で増加しているパワハラ問題について、笹山尚人弁護士にインタビューしました。導入部分だけですが紹介します。

職場で殴る蹴るのすさまじい暴行

26歳の青年「あごに、穴があいたんです」

――笹山先生は、『パワハラに負けない!〜労働安全衛生法指南』(岩波ジュニア新書)、『それ、パワハラです〜何がアウトで、何がセーフか』(光文社新書)、『人が壊れてゆく職場〜自分を守るために何が必要か』(光文社新書)などパワハラに関する新書を数多く執筆されています。最初にパワハラ問題に関わるきっかけなどについてお聞かせください。

私自身がパワハラ問題に関わった最初のケースは、まさに有形力の行使=暴力によるものでした。それは、「ヨドバシカメラ違法派遣暴行事件」と言われているもので、ヨドバシカメラで働いていた派遣労働者の青年がヨドバシカメラの社員と派遣元の派遣会社の社員から二重に暴力を受けた事件です。その青年は、「お前にヨドバシの便器をなめさせてやる」との暴言を浴びせられ、殴る蹴るのすさまじい暴行をふるわれて、3週間もの入院を必要とする肋骨骨折等の怪我も負い、刑事事件にもなった大変深刻なものでした。

それから、私が最初に出版した『人が壊れてゆく職場』(光文社新書)の中で紹介しているのですが、広告等のデザインを制作販売する会社で、26歳の青年が上司に殴られて「あごに、穴があいた」「その穴から、栄養ドリンクが漏れた」という事件で、この職場でも、社員を叩いたり、蹴ったりすることが日常茶飯事になっているというケースでした。

日本という国は平和で豊かな社会のはずなのに、職場に暴力が蔓延しているということに、私自身、当初は本当に驚いていました。これらの事件は時期的にいうと2003年から2006年頃です。今でも暴力的な事件がときどき出てきますが、こうした社内暴力はパワハラが社会問題になる以前から存在していたのかなと思います。

次に2005〜2006年頃から多くなってきたのが、言葉の暴力による事件ですね。言葉の暴力も、人格的な侮蔑がダイレクトに行われるケースがたいへん増えてきたと思います。典型的な例としては、医療機関の中で「会社の言うことが聞けない奴は辞めろ」という言葉の暴力が頻繁に行われていたという事件がありました。以前は人格そのものに対する侮蔑をストレートにぶつけるケースが多かったのですが、最近は、仕事の結果に引きつけて「だからお前はダメなんだ」と人格侮蔑に発展させるパワハラが増えています。こうした形で言葉の暴力が退職強要になっていくケースが非常に多くなっていると思います。

非正規雇用の増加がパワハラの背景に?

――そうしたパワハラが職場で増えている原因は何でしょうか?

私自身が一番強く感じているのは、やはり非正規雇用が増えたことです。暴力的な事件が以前からあったということは、もともと日本社会のどこかに暴力を容認するような風土があったのではないかと思うのですが、ここまで社会問題化するほどになった原因は何なのか。どこから壊れ始めたかと考えると、やはり1980年代くらいからだという感じがするのですね。高校や大学を出て社会に出た人が「会社の中で真面目でありさえすればきちんと育てていくよ」という企業風土があった時代から、そうではなく即戦力だという時代になってしまった。その状況の中で多くの職場が雇用の非正規化を強めていきました。そして、労働者が人ではなく物のように扱われる状況が生まれた。それがだんだん社会に蔓延するようになったということが根本的な原因ではないかと思います。

その典型的な例だと私が思うのは、派遣先における派遣労働者の扱いです。民間の大企業でいうと、派遣先で派遣労働者を扱う部署は人事部ではありません。購買部であったり資材部であったり物品を扱う部署が派遣労働者を扱います。そうすると派遣労働者の人件費を最終的にどこで決めるかというと、それもやはり購買部や資材部なのです。こうした対応が続いた結果、派遣先にとっての派遣労働者は「派遣さん」であって名前のある人間として扱われなくなったわけです。加えて派遣会社も「あなたはウチの会社のスキルなんですよ」と言う。つまり人ではないんですよと言うのです。そうして何か不具合が生じれば、部品を換えるみたいに「次の派遣さんに変えてください」と人間を物扱いする日本社会が、1980年代以降どんどん広がっていきました。その意味で、1985年にできた労働者派遣法がどんどん広げられていったのは、雇用の非正規化の典型的な時代の流れを象徴しています。こうして、雇用の非正規化が強まる中で「人じゃなく物なのだから大事に扱わなくていい」という風潮が広がったのです。そうすると、職場で何か歪みが発生した時にそれを弱いところにぶつけていくようになったというのが、いまパワハラが増えている最も根本的な原因ではないかと考えています。

パワハラやいじめが生じた場合、会社側はよく「あいつが空気を読めないから悪い」といじめられる人に責任があると言うのですが、そうではないと私はいつも思うのです。ある人がいじめられて、その人が仕事を辞めたら今度はまた別の人をいじめるということが起こる。パワハラ、いじめが生じる職場では、必ず人を変えていじめが連なっていきます。ですから、いじめられる人に問題があるわけではなく、その“職場が抱える闇”の問題なのです。私はパワハラ問題をそのように捉えています。この“職場が抱える闇”はどこから来るのか? それはやはり人間を大事にしない風潮であり、雇用の非正規化というものがバックボーンとしてあるのではないかと、今はそのように理解しています。

パワハラは人格権を侵害する行為

――そもそもパワハラは法的にはどう考えればいいのでしょうか?

法的な意味でパワハラとは何かというと、結局は人格権を侵害する行為のことです。厚生労働省が2年前にまとめたワーキンググループの定義があります。その定義では、「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる」とあり、基本的にはこの認識で捉えて構わないと思います。

この定義はその通り理解していいと思うのですが、その行為が何から何まで法的に捉えられるかというと難しいところがあります。特に裁判所で事件を扱っていると、裁判所が認めるパワハラ、つまり法的に認められるパワハラはものすごく範囲が狭い。裁判所では、「ここまでやると労働者が一般的に持っている人格権というものを重大に毀損したと言える行為をパワハラと呼ぶ」ということになる。ですので、私は、パワハラの捉え方が2段階になっているように思うのです。厚労省の定義で捉えられるパワハラは、その人が職場で疎外感を味わったり、すごく働きにくいなと感じさえすれば、ある程度パワハラと捉えていいという部分を含みます。それを厚労省は類型化していると思うのですが、そこに該当するからといって法的なパワハラにはなかなかならない。狭義のパワハラというものが裁判の世界にはあって、そのハードルが以前に増して高くなっているということを実感しています。ですから法的に捉えられるパワハラというのは、すごく難しい問題があるのです。

長時間労働とパワハラの人格権侵害は法的に同じ

――笹山先生が取り組まれたパワハラ事件の具体的な事例ですが、たとえばSHOP99の清水文美さんの事件があります。著書の中では長時間労働もパワハラにあたるのではないかと書かれていますね。

SHOP99は現在ローソン100になっているコンビニですが、店長をしていた清水さんが異常な長時間労働でうつ病になって、残業代の問題と、うつ病になったことに対しての慰謝料を請求した事件です。今日のテーマとの関連性でいうと、慰謝料請求の部分がそもそも会社が取るべき責任なのかどうかということが問題になったケースです。

結論的には、裁判所は清水さんの長時間労働を安全配慮義務違反だと捉えました。一般的に長時間働かせるということが直ちに安全配慮義務違反になるわけではありませんが、職場の中で使用者との社会的接触関係がある時は、管理の立場にある上司あるいはその情報をさらに吸い上げている会社が、職場の労働条件や労働者個人の働きぶりなどを捉えて健康上問題があると考えられる場合、それを除去するための具体的な対処を取らなければいけません。

清水さんの場合、2007年8月において月間350時間を超える長時間労働を強いられていて、その長時間労働の事実は上司も把握していたという事実がありました。そうである以上は、上司は清水さんに有給休暇を取らせたり、シフトを精査して減らすというような対応を具体的に取るべきだったのに、「休みを取ろうね」という一般論しか言わなかった。それで安全配慮義務違反があると判断されたわけです。

この点は裁判所としても事件として分かりやすいのか、会社の怠慢に対してものすごく怒りを露にした内容の判決文でした。会社として長時間労働について従業員の健康と実態を把握すべき義務があったにも関わらず、さらに夏季休暇の制度があるのにそれを推奨もしていないので「会社の怠慢は明らかだ」という形の判決文を書いたのです。長時間労働と健康の関連については過去に事例がたくさんあり、裁判所も比較的把握しやすいので、そういう形で判決が出されています。それで安全配慮義務違反で清水さんがうつ病になったということで、最終的に慰謝料が100万円とされました。

しかし、それでは清水さんの権利の何が侵害されたのか。判決はそれを明示していませんが、やはりそれは人格権ということになると思います。つまり安全配慮義務違反が起きた時に、労働者の何が損なわれるのかということです。死んだ場合は命そのものになってしまいますが、そこまでいかない場合は人格権という形で法としては捉えざるを得ないのだろうと思います。そうすると、安全配慮義務違反があり、人格権侵害があった場合に、法的な責任を会社が取らなければいけないという構造は、パワハラなど言葉の暴力事件と何も変わらないわけです。

つまり、長時間労働の違反があって人格権侵害が発生したケースと、パワハラなど言葉の暴力があって人格権侵害が発生した場合で、法的スキームは変わらない。ですから、私としては長時間労働の方もパワハラだと捉えることにそれほど違和感を感じないわけです。法律家は特にそうだと思いますね。それは社会的にみても、長時間労働自体を放置していくことは命と健康を削るということがほぼ共通認識になっているので積極的にそれを是正しないという態度が見受けられる時は、それはパワハラだと呼んでいいのではないかというのが私の意見です。

「上司に歯向かう奴はいらない」

その他にも典型的な言葉の暴力事件ということで2つのケースを紹介します。

ひとつは先ほどお話しした医療機関の事件です。これは業務とは関係のない手酷い言葉の暴力が連日連ねられたというタイプの事件で、「お前はジャイアンみたいに顧客をバカにしている」とか「上司の言うことが聞けない奴は会社にいる資格がない」ということを連日浴びせられた。それが連なって彼はうつ病になって、試用期間中だったのですが休もうということで電話をかけたら、たまたまその上司が電話に出た。それで休みたいという連絡だけだったのに4時間に渡って電話口で言葉の暴力を受けたというケースです。その4時間の電話の中で、「お前のように上司に歯向かう奴はいらないんだ、辞めちまえ」という言葉の暴力が連ねられた。

この事件については、裁判官が「この種の事件はたくさん担当しているけれど、ここまで酷いと思ったのは2例目だ」と言ったくらい、非常に印象的な事件でした。そして、その言葉の暴力は会社としての安全配慮義務違反になる。社会的接触関係を持っている労働者に対して会社は働きやすい職場を実現していく法的義務があるにも関わらず、労働者の人格を揶揄する言葉を連ねることによって、またそのことを放置して是正しないことによって労働者の人格権を侵害したということで、最終的に慰謝料が発生する事案だと判定されました。そしてその部分を加味した話し合いという形で解決したケースでした。

言葉の暴力によるパワハラの事件に関わっていて、ひとつ難しいなと思うことがあります。たとえば裁判官が「私が酷いと思った2例目である」というふうに言った場合、それはあくまで裁判官の印象ですよね。裁判では裁判官の印象で決まってしまうという部分が結構あるのです。いろいろなパワハラ事件に関する裁判所の判決を見ていて思うのは、人格権を侵害しているというところまで持っていくまでの言葉づかいとして、「業務としての指導の範疇を超え」とか「社会的相当性を逸脱している」という言い方をして「違法である」と認定するのですが、ではどういう時に業務の指導の範疇を超えているといえるのか? あるいは社会的相当性を逸脱しているといえるのか?ということについては、詳細に検討した判例はおそらくないと思います。

結局、どういう場合にそうなってしまうのかということは誰にも分からないので、裁判官の印象ひとつで決まってしまう。結局は「常識的にみて酷いよね」というケースでないとなかなか認められないのですね。この事件がまさにそうでしたが、誰がどう見ても酷い言葉を連ねられているケースで、かつ、そのことについてしっかり証拠が残っているケースでなければ、裁判所は責任を肯定しないという傾向にあると思います。では、そこまでいかない場合や証拠がない場合はどうするのかという事例が現に出ていますので、そうした時が非常に悩ましいのです。

「成果が上がっていない」と責めて辞めさせる

次にその変形バージョンということで、『パワハラに負けない!』(岩波ジュニア新書)の最後の方で組合絡みの事件として紹介したケースです。この種のケースが最近は最も悩ましいと思いますね。業務に関連した叱責になる場合なのですが、仕事ができない、あるいは会社として目標にしている成果を上げていないと考えられた時に、そのこと自体を捉えて責める。実際は目標としている業績自体が労働者にとっては実現不可能な場合も多いわけですが、それでも業務命令したことに対して結果が出せていないじゃないかということで、労働者自身が「責められても仕方がない」という状態に陥ってしまう。その中で業務の範疇を超えるか超えないかという言動が続くというケースです。そして最終的には労働者から辞めたいと言わせる。そうしたケースが最近は多くなっていると思うのですが、この種のケースが最も悩ましいと思いますね。

これらの事例はすべて正社員のケースですが、特に民間ではPIP(パフォーマンス・インプルーブメント・プラン=成績改善計画)を使うケースも最近増えています。成績が上がっていないということをPIPという特殊な観察期間と業務プロセスを取ることによって、客観的にいかにもできていないかのような装いをつくった上で責め立てるわけです。それで「できていないのだから辞めて当然だよね」という対応をして、決して会社側から辞めろとは言わない。本人から辞めたいと言わせるのです。そういう形でどんどん手が込んできているのです。

私が担当したケースでは、上司に責め立てられていた依頼者の方が、ある時お客さんに迷惑をかけてしまったということで辞表を出したのですが、労働組合の支援でそれを撤回することになりました。訴訟になって、最終的には上司の言動についても責任を追及し、結果的に彼は職場に戻ることができたのです。労働組合の力で職場に戻せたわけですね。ただ、会社は最後までパワハラは認めなかった。そういうケースもありました。

笹山尚人弁護士談

笹山尚人弁護士の著作
笹山尚人弁護士の著作
井上伸

国家公務員一般労働組合執行委員、国公労連書記、雑誌編集者

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)本部書記、国家公務員一般労働組合(国公一般)執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『国公労調査時報』編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。


課長のパワハラが一因=捜査2課幹部2人の自殺―福島県警

 

課長のパワハラが一因=捜査2課


幹部2人の自殺―福島県警


時事通信 6月26日(木)18時24分配信 より

   

 福島県警捜査2課の警視(52)と警部(51)が4月末に相次いで自殺した問題で、県警は26日、長時間労働や仕事の悩みに加え、捜査2課長の男性(45)によるパワハラ行為が自殺の一因だったとする調査結果を発表した。
 同課長は、亡くなった警部(51)と別の2人に対してもパワハラを繰り返したといい、県警は同日付で戒告の懲戒処分とした。警視は警部の直属上司で、「守ってあげられなかった」との遺書を残していた。
 県警監察課によると、捜査2課長は2013年5月〜14年4月、決裁書類の文章表現をめぐり、一つの書類で3〜4回直させたあげく、人格を否定するような誹謗(ひぼう)を繰り返した。
 監察課は、長時間勤務による心身疲労や事件捜査の悩みなども自殺の背景にあるとみており、「三つの状況が複合的に重なり合い、自殺に結びついた」と話している。 


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